一生懸命に考えて決める、わが子への最初の大切なプレゼントが名前です。
候補の中で、すっきりとした知的な響きを持つ「とおる」という名前に惹かれる親御さんは少なくありません。
しかし、漢字を調べるうちに「亨」と「享」という酷似した二つの文字に出会い、どちらを選ぶべきか立ち止まってしまうケースがあります。
特に「享」の文字に対して「享年」という言葉を連想してしまい、縁起が良くないのではないかと不安を感じるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
亨と享の違いとは?基本的な意味と成り立ちを比較
形が非常に似ている二つの漢字ですが、その由来と込められた意味には明確な違いが存在します。
まずは、それぞれの漢字が持つ本来の成り立ちと意味を紐解いていきましょう。
上に向かって通る「亨」の意味
「亨」という漢字は、神様へのお供え物を煮る器の形から生まれたとされています。
立ちのぼる香りが天へとまっすぐに通っていく様子を表しており、そこから「物事がスムーズに通る」「願いが叶う」「順調に成長する」という意味が生まれました。
自分の力で道を切り拓き、目標に向かって進んでいくような、力強さと自立心のイメージを持つ漢字です。
受け入れる「享」の意味
一方で「享」という漢字は、お城や高台にある建物の中で、神様からの恵みを受け取る様子を表しています。
ここから「神様や先祖からの恵みを受ける」「もてなしを受ける」「受け入れて自分のものにする」という意味を持つようになりました。
「享受する」という言葉があるように、与えられた人生の幸せを十分に受け取り、深く味わって楽しむという、豊かで温かいイメージを含んでいます。
| 漢字 | 主な名乗り(読み) | 本来の意味 | 名付けのイメージ |
|---|---|---|---|
| 亨 | とおる、すすむ、あきら | まっすぐに通る、成長する | 突破力、誠実さ、意志の強さ |
| 享 | とおる、きょう、あきら | 恵みを受け取る、楽しむ | 包容力、幸福、豊かな人生 |
享は名付けに良くない?享年との関係と縁起の捉え方
「享」の漢字を使おうとしたとき、どうしても頭をよぎるのが「享年」という言葉です。
この言葉が亡くなった年齢を表すことから「死を連想させるため名付けには避けるべきではないか」と心配する親御さんは非常に多くいらっしゃいます。
享年という言葉の本来の意味
「享年」という言葉を詳しく見てみると、実は不吉な意味は一切含まれていないことが分かります。
これは「天から授かった命を享(う)けた年数」という意味を持つ言葉です。
この世に生まれ、神様から与えられた命を十分に生きたことへの感謝と敬意が込められた表現になります。
単に「死」そのものを指す言葉ではないため、名付けに使う漢字として避ける必要は全くありません。
名付けにおける享のポジティブなイメージ
「享」の漢字は、人生における素晴らしい出来事を全身で受け止める受容性を表します。
自分の周りにいる人たちを温かく受け入れ、多くの人から愛される人になってほしいという願いにぴったりです。
恵まれた環境に感謝し、日々を穏やかに楽しむことができる心の豊かさを象徴する文字だといえます。
亨と享を名前で選ぶときの具体的な判断基準
どちらの漢字も名付けに用いる上で素晴らしい意味を持っていますが、いざ選ぶとなると迷うものです。
わが子にどのような人生を歩んでほしいか、その願いの方向性によって選ぶ基準を整理してみましょう。
通る、通じる、成長を願うなら「亨」
「亨」は、何事も途中で滞ることなく、スムーズに進んでいく力を示します。
困難な壁にぶつかっても、それを乗り越えて自分の進むべき道をまっすぐに通していく強さを持ってほしい場合に向いている漢字です。
社会の中でリーダーシップを発揮したり、自分の信念を貫き通したりするアクティブな印象を与えられます。
恵みを受ける、人を受け入れる優しさを願うなら「享」
「享」は、周囲の意見を柔軟に聞き入れ、豊かな人間関係を築く力を示します。
がむしゃらに突き進むだけでなく、日常のささやかな幸せに気づき、心から人生を謳歌できる人になってほしい場合におすすめです。
他者への優しさや、周囲の人々を包み込むような器の大きさを感じさせる名前に仕上がります。
- 能動的に道を切り拓く強さを贈りたいなら「亨」が適している
- 豊かな人生を楽しみ、感謝する心を育んでほしいなら「享」が適している
- 親戚など周囲からの見え方がどうしても気になるなら、安心のために「亨」を選ぶのも賢い選択肢である
大切な我が子の名前に納得のいく一文字を贈るために
どちらの漢字も、それぞれに深い成り立ちがあり、決して縁起の悪いものではありません。
まずは紙にそれぞれの文字を実際に書き、声に出して呼んでみることから始めてみてください。
夫婦で文字を眺めながら、我が子に一番伝えたいメッセージがどちらの漢字に近いかを話し合ってみる時間が大切になります。
どちらを選んでも、親御さんが悩み抜いて決めた名前に込められた愛情は、しっかりと子どもに伝わるものです。
漢字の持つ深い意味を理解した上で、自信を持って素晴らしい名前をプレゼントしてあげてください。
名前に使う漢字の方向性が見えてきたら、次に気になるのが苗字とのバランスや画数の相性ではないでしょうか。
お父さんお母さんの不安を解消するために、名付けにおける画数の捉え方やバランスの良い組み合わせのコツについては、別の記事で分かりやすく書いているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

